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蜂須賀ちなみの日記帳

祝・5周年!LiSA 全ALレビューでその軌跡を辿る【前編】

少々遅れをとってしまいましたが……

祝・デビュー5周年!! おめでとうございます!!!

ということで、本日は、2016年4月20日にソロデビュー5周年を迎えたLiSAさんの全アルバムレビュー【前編】をお届けします。今回は『Letters to U』『LOVER"S"MiLE』『LANDSPACE』の3作について。

 

LiSAさんのライヴを観るたびに感動してしまう私ですが(というか感動のあまり泣いたことすらある。仕事中なのに……ごめんなさい……)、彼女のどの部分にこんなにも強く惹かれるのか、という部分を改めて整理するためにこの機会に全アルバムを聴き直して言葉にしてみよう、ということでこのテキストを書いています。結果的に、「LiSA入門編」的な内容になっているかと思いますので、ファンの方はもちろん、「名前しか知らない」という方にも読んでもらえたら、そして曲を聴いたりライヴを観に行ったりするキッカケにしていただけたら……と。

 

では、早速!

 

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Letters to U

Letters to U

 

 

 

デビュー・ミニアルバム『Letters to U』収録の全7曲はLiSA本人の作詞によるもの。〈焦る心 誰にも知られたくない〉〈怖がる心 誰にも知られたくない〉(「Believe in myself」より)と打ち明けた自身の脆さや、そういう部分を周囲に悟られたくないという強がり――つまり、彼女自身の不器用な性格が彼女自身の歌と言葉によって曝されている。言ってしまえば、デビューアルバムにしては音も詞もそれほど明るくはないのだが、全7曲の根底にあるのは負の感情などではない。無限の時間ではなく「ずっと一緒」と口にできるような相手との関係性そのものを〈永遠〉と呼ぶ「永遠」、相手を振り向かせるために試行錯誤する「妄想コントローラー」などに象徴されるような、目の前の人と深く繋がりたいんだという純粋な願いが、その歌を形作っている。

 

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相手のことを信じたいという想いが強いからこそ、上手くいかなかったときにイメージが脳裏にちらついてしまい、信じることに臆病になってしまう。そんな自分のことを〈弱い〉と感じてしまう。〈孤独〉なのだと感じてしまう。〈いつか 隠し続けてた 弱虫な自分も 愛せたらいい〉と唄う彼女の旅路は、そんなコンプレックスとともに始まった。

 

  

LOVER“S”MILE【BD付・初回生産限定盤】

LOVER“S”MILE【BD付・初回生産限定盤】

 

 

 フルアルバムとなり収録曲数が増えたことも影響してか、ギターロックのスタンダート的なアプローチが目立った『Letters to U』よりもカラフルな作品となった『LOVER"S"MiLE』。デジポップ、8分の6拍子、ラップ、9分超の組曲……と様々な楽曲に果敢に挑む姿勢は、〈『変わりたい』声にした今日が きっときっと始まりだ、ってさ〉(「now and future」)と前を向く彼女の意志と通じる部分も多い。自分自身のことを〈今はまだ好きになれない弱い僕〉と表現しながらも、進み続けることによって弱さを優しさに変えていくんだ、と宣言する「優しさに辿り着くまで」で始まる本作。悔しさ、嫉妬心、とびきりの歓喜、など様々な感情を経由しながら、目の前の〈キミ〉の笑顔のなかに幸福を見出す最終曲(ボーナストラックを除く)「LOVER"S"MiLE」へと辿り着く様子は、リサという少女がLiSAというシンガーとしてステージに立つまでの道のりをグラデーションのように表している。

  

   

LANDSPACE(初回生産限定盤)

LANDSPACE(初回生産限定盤)

 

 

ライヴをイメージできるような曲が揃った『LANDSPACE』は、「コズミックジェットコースター」という曲もあるように、山あり谷あり、上昇あり下降ありの道の上を猛スピードで突っ切っていくようなアルバムになった。ネガにもポジにもとことん振り切れる。そんな表現のなかに表れているのは、これまでの活動を通して手に入れた、もはや彼女は独りではない(=LiSAというアーティストはもはや彼女一人だけのものではない)という実感だ。推測になってしまうが、ライヴだったり、ファンからのメッセージを直接貰う機会だったり、そういう経験を通してLiSAという存在に希望を抱いている人の存在やその数を実感したのではなかろうか。だからこそ、〈不安な時は アタシを見て〉〈どんなキミでも 受け止めるからね〉など、以前に比べて頼もしい言葉も目立つようになった。また、「僕の言葉で」や「best day, best way」に描かれている〈不器用だからこそ自分の気持ちはシンプルな言葉で伝えよう〉という素直さは相手ありきのものだし、そうできなかった頃の自分に後悔しているからこそ二度と同じ後悔をしないように、再び孤独に陥ることを避けているようにも見える。

 

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因みに〈LANDSPACE〉とは〈LANDSCAPE〉をもじった造語。「今足をつけて生きているこの地(LAND)に自分の居場所(SPACE)があったらいい」という意味が込められているという。『Letters to U』というデビュー作を通して自らの性格をその歌で曝け出しながら自己紹介をしたLiSA。『LOVER"S"MiLE』を経て彼女の歌は明確に聴き手(=〈キミ〉)に向けられるものとなり、『LANDSPACE』では自らが立つそのステージの上を〈居場所〉と定義していく。〈キミ〉を笑顔にさせるためにあれやこれやと作戦を練り、ステージ上では思いっきりカッコつけてみせる……というアーティストとしてのLiSA像がこの3枚を経て確立され始めた。

 

 

# favorite track

★Letters to U

1曲目「Believe in myself」、7曲目「無色透明」

★LOVER"S"MiLE

2曲目「oath sign」~3曲目「now and future」、9曲目「アンフィル」~10曲目「ジェットロケット」の流れ

★LANDSPACE

8曲目「say my nameの片想い」