sumikaの音楽と、私の弱さの話

※先日「SPICE」にてsumika@川崎クラブチッタのレポを書いたのですが、そこにはどうしても書けないような超個人的なあれこれをここに残しておきます。

 

spice.eplus.jp

  

 

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好きな音楽の数が増えるほど、自分の中の弱さと向き合う回数が増える。

 

人によってはそんなことないのかもしれないけど、少なくとも私にとって音楽ってそういう存在なんです。ある音楽を好きになった理由についてじっくり考えていくと、自分のコンプレックスに突き当たってしまうことが多くて、sumikaも例に漏れず、私にとってそういうバンドでした。sumikaはメインで作詞作曲を行う片岡さんが幼い頃に両親からいろいろな趣味を作るキッカケを与えられ、その中で〈音楽〉を選んでいったという経緯があるらしく。だからこのバンドの曲には〈選択をする〉ということが描かれている曲が多い。

 

例えば、「グライダースライダー」。

分母をたくさん増やしました

そこからひとつの道だけ選びました

1分の1じゃなく100分の1を選ぶ人になれるように正直に欲望を描いた

 


sumika / グライダースライダー【Music Video】

 

例えば、「Lovers」

口約束の結婚をした17歳の秋には脇目振らせることが怖かったんだ

でも今は違うらしい たくさん比べて欲しい

そんで何百万の選択肢から選んで欲しい

だってその方がずっとずっと最後まで

寄り添い遂げられる気がしているから

 


sumika / Lovers【Music Video】

 

 

人は誰だって様々な場面で選択をしながら、そうして一歩一歩を積み重ねながら人生を歩んでいる。もちろん私もそうして生きてきたわけだけど、この24年間でひとつ大きな選択だったといえることはやっぱり、フリーランスの音楽ライターとしてやっていこうかと決めた日でした。その日を境に、自分で〈選んだ〉道をしっかり切り拓くために、心に鎧を着せていました(知らず知らずのうちに、ではなく、自分から計算をしたうえで)。

 

だから〈選択をする〉という行為に伴う覚悟(=「それでも音楽なんだ」「だからこそ音楽なんだ」という意志)が滲み出たsumikaの曲を聴くと、その当時の自分を思い出してしまって、自分の中にあるナイーブな性格の方に一旦戻ってしまったりする。安定しない生活ゆえに将来が見えないからいつだって怖い、という臆病な気持ち。〈選んだ〉のは自分だし、そのために他のたくさんのものを捨てたのも自分だし、「これだけは!」とワガママ言いながら満身創痍であれこれ抱え込んでいるのも自分だし、と言い聞かせてもどうしても訪れてしまう、つらいと感じるような出来事。いろいろな気持ちをグチャグチャにさせながら、「またひとつ弱くなるなあ」と思いながら彼らの音楽を聴いていて。好きなバンドの音源や好きなアイドルのコンサートを糧にして、普段の仕事を頑張っている人だってたくさんいるはずなのに、私は一向に強くなれなかった。

 

そのことに対してまたひとつコンプレックスを抱いていた時期だったからか、先日のツアーファイナルで片岡さんが「音楽は縋るものだと思う」と言っていたのを聞いて、何だか救われた気がした。縋っていいのか、と思えた。それに、そういう時に感じた/考えた事柄を文章化することが私の仕事なわけだから、無理して強くなろうとするよりも、自分の弱さと如何に向き合っていくのか、それを受け入れたうえでどうやって〈私にしか書けない文章〉へと昇華させるのか、ということを考えた方が良いんじゃないかと思えた。

 

終演後挨拶の時、〈内緒にしているわけではないけど、せめて一緒に呑みに行くぐらいの中にならないとこちらからは言わない〉程度のちょっとした秘密を、気づいたらメンバーのみなさんに話していた。ライヴを観たうえで「何かこの人たちになら何でも言えるかもしれない」とふと思ってしまって、そしたらつい、ポロッと鎧を外してしまったのかもしれない。たぶんそう。

 

だから、あんなにハッピーな音楽が鳴っている中でも私はどうしても泣きたくなってしまう時がある。そういうふうにどうしようもない気持ちになりながら、例えばかつての私と同じように(いや、今でもか)、みんなが笑っている中で上手く表情を崩せない人だって、みんなが騒いでいる方へ上手く気持を持っていけない人だって、ここでなら心をほどくことができるんじゃないかと考えていたりする。sumikaの音楽はそういう音楽だ。

 

もっとたくさんの人たちが、出会うべくして出会ってくれますように。そのためにできることは尽くしていきたいなあ。