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蜂須賀ちなみの日記帳

2014年私的ベストアルバムを紹介しようの回?|indigo la End『あの街レコード』

もう2015年の2月ですが(ごめんなさい)、今日でこのシリーズを終わらせるべく更新します。

「2014年リリースの好きなアルバム」
1枚目=go!go!vanillas『Magic Number』
2枚目=UNISON SQUARE GARDEN『Catcher In The Spy』

そして今回紹介する3枚目はindigo la End『あの街レコード』です。


あの街レコードあの街レコード
(2014/04/02)
indigo la End

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ミニアルバム、全8曲。小説でいうならショートショート。世界を彩るバンドのサウンドに、物語を辿る川谷絵音(Vo・G)の歌声。それを後ろからなぞりながら、頭の中に曲中の風景を思い浮かべる。その感覚は、音楽を聴くというよりも、ページをめくる・物語を読んでいるときのそれに近く、また、私にとってとても心地よいものだった。なんだか、やっと、ひとりきりにしてもらえたような気分だった。たとえば、大きなスタジアムで稀代のロックスターの元へ喝采が集まっていくときの眩しさ。あのバンドのあの曲が今この場所で共有された喜びの体現のような大きなシンガロング。音楽は国境も何もかも飛び越えることができるもので、大人数で共有されるその素晴らしさは大いに分かるしそれに快感を覚えたことが何度もある。でも、また、どうしようもない私たちをたったひとりにしてくれる場所も音楽なんだということを思い出させてくれた大事なアルバムがこの『あの街レコード』だった。気軽に情報をシェアでき、絶え間なく誰かと繋がっていることが普通とされる時代だけど、だからこそ、こういう音楽が必要だと思う。

 
以前よりも具体的になった歌詞における情景・心象描写。前へ行くテンポ感(BPMが速い、ということではない)。ポエトリーリーディングや弾き語りがアクセントとなり、メリハリのある構成。泣きながら唄っているみたいな声質のヴォーカルは聞きとりやすくハッキリとした口調で、全体のサウンドもヴォーカルをたてるように作られている。唄われている内容は決してハッピーなものではないものの、どこかポジティヴで、間口が開けていて、体温を感じる表現。そこにはひとつ吹っ切れたバンドの姿を感じる。2013年3月『スペースシャワー列伝JAPAN TOUR』でライヴを観たときは、今流行りのシーンに対して耳を塞いでいるような、どこか意地を張っているような印象があったけど、今は、しっかりと自身や他バンドを見聞きしたうえで「こことは違う」という判断をしているんじゃないか、と憶測がたてられるぐらい、風通しの良さが全然違うのだ。
 
そんなこのアルバムのリリース後だったからサポートメンバー・後鳥亮介(Ba)の加入は喜ばしかったし、初期メンバー・オオタユウスケ(Dr)の脱退も非常に残念だ。メンバーが変わればindigo la Endの音も間違いなく変わるだろうけど、その変化がこのバンドに何をもたらしていくのだろうか。
 
 


# favorite track
5曲目「染まるまで」、6曲目「ダビングシーン」





★2曲目「名もなきハッピーエンド」

 


★6曲目「ダビングシーン」