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蜂須賀ちなみの日記帳

2016.3.28 LEGO BIG MORL@赤坂BLITZ を観た感想

3月28日、「LEGO BIG MORL 10th anniversary tour Lovers, Birthday, Music」のツアーファイナル@赤坂BLITZにお邪魔してきました。

 

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(会場の写真を撮り忘れたからパスの写真でも貼ろうかと思ったらすぐに見つからず……。だらしないのはダメですね。)

 以下、その感想をざっくりと。と言いつつ、2500wです。相変わらず長くてごめんなさい……。

 

 

 

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今年で結成10周年を迎えたLEGO BIG MORLの全国ツアーのファイナル公演。3月28日は正真正銘、バンドの結成記念日でもある。SEが流れ、照明がステージを真っ青に染めるなかメンバーが登場。それを拍手で迎えるオーディエンス。4人はステージ前方に横並びになって肩を組んでお辞儀する。レゴがいちばん最初に作った曲だという紹介を挟んで「dim」でライヴはスタートした。

 誰が煽ったわけでもないけど、フロアからは自然とハンドクラップも起きて温かい雰囲気。後のMCでヒロキさんが「ファイナルやからって特別なことはしません。いつも通りカッコいいライヴをして帰りますので」と言っていたように、基本的に、ただただ4人が演奏してオーディエンスがそれを楽しむ、というシンプルな構図。とはいえ、中盤でカナタさんの弾き語りコーナーがあったり、最後の最後に新曲が披露されたり、演奏曲数22曲(アンコール含む)と盛りだくさんだったり*1、その形でできること/やりたいことは全部詰め込んでいる印象。それに派手な舞台装置等はなくとも、例えば「RAINBOW」演奏前に「このあと赤坂BLITZでは大規模な虹の発生が見込まれています」という天気予報風のアナウンスがあったり、照明が凝っていたり*2、〈シンプルななかでもできる限りの工夫を凝らす〉という意識が演出面でも感じられた。

 

 

レゴってパブリックイメージとして綺麗な曲を鳴らしているバンドに思われがちだけど、案外、アンサンブルの進行やコードの濁らせ方が捻くれているというか変態的で。だから飽きずに聴いていられるし、ライヴを観るたびに新鮮な驚きがあるからいちいち「おおっ!?」とか思いながら食い入るようにステージを見てしまう。それはきっと私だけではなくて彼らを観に来たオーディエンスも同様。バンドの演奏に対してニュートラルに反応して楽しんでいる姿が印象的だ。

 サビで視界をこじ開けながらグワッと羽ばたくような「Strike a bell」ではその飛翔感バツグンなサウンドに乗ってオーディエンスも高くジャンプ。「所詮、僕は言葉を覚えたばかりの猿」でのドラム→ベース→ギターのソロ回しが歓声を集め、「space drive」ではギターソロを境にバンドはもう一段階エンジンを踏み込む。雨音のSEが幻想的な世界へ導いてくれたのは「雨のタクシー」。「Rise and Set」はコーラスラインが凝っていて耳で追うのが楽しい。ドラムが曲を繋いでいる間の「次は何の曲が来るんだろう」っていう、あのワクワク感もたまらない。

 やがて停止してしまう鼓動を表すようにバスドラが「ドドッ……ドドッ……」と低音を刻んだ「end-end」のラストは、メンバーがひとりずつステージを去っていくなかアサカワさんだけが最後まで残る演出。ラストの一音が響き終わるまで拍手が起こらないほど、フロアの集中力も高かった。ライヴを通してレゴと彼らのファンが大切に育んできたこの曲。ファンにいち早く聴いてもらうために会場&配信限定リリースという形態を選んだバンド側の想い、それをまっすぐ受け取るオーディエンス側の想い。あのとき、両者を結ぶ絆が、音楽を媒介とした信頼関係が目に見えたような気がした。

 

 

「(当時はメンバーの)4人しか知り合いがいなくて、シンタロウの家で具のないシチューを食ってたけど、今では大切な友達やスタッフもいって、何より、東京でライヴをしたらこんなに集まってくれる。悪くないなあって思ってる、今日この頃です」――11曲目に演奏されたのは、結成4年目、4人が上京したときに作ったという「東京リュックサック」。当時の瑞々しい決意を閉じ込めたこの曲と、現在のレゴの姿が重なって見えたのは、今回のツアーが10周年イヤーのキックオフを告げるものであること、つまりここからが新たな〈始まり〉であることがこの日のライヴに表れていたからだろう。「UNIVERSE Sta.」「end-end」と最新曲を続けて演奏して本編を終えた時点で、今このバンドが未来を見据えていることは明らかだったが、既にニュースもリリースされている通り、記念すべき2016年を彩る嬉しい告知もたくさんあった(ベスト盤のリリース、「Thanks Giving」の開催 etc.)。そしてだからこそ、このライヴはレゴにとっての始まりの地・赤坂BLITZ*3で開催されたのだろう。

 そしてアンコールラストには6月22日発売のベストアルバム『Lovers, Birthday, Music』に収録予定だという曲が披露された。ヒロキさんは自分のことを不器用だと言っていたし、バンドのフロントマンとして歌を唄うカナタさんのことを「俺よりももっと不器用」と言っていて、もう本当にその通りだと思う。だけど、そういう不器用な人たちの集まりのようなバンドが生み出した新曲が、今現在のレゴが抱く想い――自らの青臭さや不器用さをも携えたままこれからも進んでいくんだという意志――をとことん素直に落とし込んだものであることが、いちファンとして嬉しい*4

 

 

「順風満帆ではなく、しなくてもいい苦労をしてきたバンドだと思ってたけど、結果、それで良かったなって。心配と迷惑ばっかかけてきたバンドやと自分でも思ってるけど、ゆっくりでもこの4人で進んでこれたことは僕らにとっての小さな誇りです。今日赤坂BLITZに集まってくれたみんなや(生中継をしている)ニコ生を見てくれてるみんなは僕らにとっての大きな誇りです。誰一人失いたくない。だからまた会いに来てよね?」

 この日はバンド結成10周年の記念日。これまで紆余曲折があったバンドだからこそ、誕生日は思いきりお祝いしようという気持ちをみんなが持っていたんだと思う。それがバンド/オーディエンス/スタッフ等それぞれの視点から、あらゆる場面で感じられて。この先1年はこの温かさが続くんだろうなあと思えたから、あまりの多幸感に泣きそうになった場面が何度かあった。とても良い1日だった。

 さあ、LEGO BIG MORL のアニバーサリーイヤーがここから始まる。私も不器用なりに、このバンドとともに歩いていけたら、と。

 

 

 

 

*1:メンバー曰く「ベタだけどやっぱり感謝しかなくて、その気持ちを詰め込んだら曲数が多くなっていった」とのこと

*2:「end-end」での深い赤色とか、「RAINBOW」での柔らかな虹色とか、あれをどう表現すれば良いのか分からないけど「ドリルドリル」のライティングのエッジの効いたカッコよさとか。全部書き出したらキリがないほどその瞬間瞬間の光が、曲の世界を如実に表していた

*3:MCで言っていた通り、1stフルアルバム『Quartette Parade』のリリースツアーの追加公演も同じく赤坂BLITZで行われた(2009年)

*4:その結果、ライヴを観ながらあれこれ書いていた手持ちのメモにはこの曲に関して「うおおお、これは愛おしさしかないんだけどおおお」としか書いていなかった。このブログを書くにあたって何の参考にもならなくて正直困ったけど、そうなってしまう気持ちも我ながら分かる。笑