ロックバンドに祝福を ~セルフライナーノーツ~

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本日12/23発売、UNISON SQUARE GARDENの結成15周年イヤーを総括するスペシャルブック「UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Thank you, ROCK BAND!」にライターとして携わっています。光栄です。貴重な機会をくださり、大事な15年を託してくださり、ありがとうございました。

 

www.shinko-music.co.jp

 

 


12組のゲストと共演した2デイズのトリビュートライブ「Thank you, ROCK BANDS! ~UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Live~」、それから舞洲での野外ワンマン「プログラム15th」のライブレポートを書きました。元々は「トリビュートライブのレポを書いてほしい」というご依頼でしたが、打ち合わせ中に舞洲のレポは誰が書くのかと訊いたところ、まだ決まってなさそうな雰囲気だったため、「ならば書かせろ」とぶん取りました。 ははは。 言ってみるもんですね。

 
ライターとしてまだそんなにキャリアを詰んでないし、傍から見たらぽっと出のよく分からん若造だろうし、実際バンドが歩んできた15年のほんの一部しか知らないし、一方、メンバーがまだ学生の頃から彼らをずっと取材してきた先輩(私自身もお世話になってます)がいることも知っている。大抜擢ってやつだなと自分でも思っているし、その辺は普通に自覚してます(自覚はするけど萎縮はしないよ)。

  

お声がけいただいた経緯や理由に関しては、メンバーご本人が別のところに書いてくださっているので、ここでは省略。私がユニゾンのライブレポを初めて書いたのは2018年1月の幕張公演で(フェスの即レポは除く)、その日初めてご挨拶に伺ったのですが、どうやらその時には既に私の書いた記事を読んでくださっていたようでした(いただいた感想が明らかにちゃんと読んだ人のそれだったのでビビった覚えがある)。だからああいう評価をしてくださったきっかけは、ユニゾンのことを書いた記事ではないと推測しています。いったいいつから知ってくれていたのだろう……。

 

 rockinon.com

 

 バンドに対する個人的な思い入れについては、本の中の前書きにあたる部分に書いているので、こちらも省略します。いわゆるアーティストブックとかツアーパンフレットとか、バンドがオフィシャルで出している本で文章を書くのはかねてからの夢のひとつだったので、それをユニゾンに叶えてもらったことが嬉しいというか、嬉しいじゃ済まないなあ、感慨深いです。本のタイトル、アルバム名から「S」を外したものだって分かっているけど、自分の気持ちともリンクするんですよね。

 
まあ、個人的な思い入れなんてここに書けよという話で、私としても、他所に寄稿する原稿のなかで自分の話をしすぎるのはどうなのかな?という想いがあります(SNSや個人でやっているブログは別ね。読んでいる人=自主的に覗きに来た人という認識なので)。しかし今回に関しては、その後に続く展開を踏まえたうえで「前書きを付けよう」「そこでは筆者の顔を出してもいいのでは」というオーダーをいただいたのと、確かにそうだなあと自分でも納得したので、書くことにしました。ご了承ください。

 
原稿にはユニゾンへの愛情とライブレポートという文化への愛憎を込めました。前者に関しては原稿に全てを置いてきたので、ここで改めて語りたいことは特にありません。なので、後者について。

 

トリビュートライブの方ですが、今まで見たことがない、もちろん自分でも書いたことのないライブレポートを書くことができました。喋りすぎると面白さが減るのでふわっとぼやかしますが、以下、ポイントを列挙。

 
・まず、構成が変。メディアでよく見かけるライブレポートとは大幅に違う。下手したら半分ライブレポートではないのかもしれない。笑

 
・構成の特殊さに付随してくる部分だけど、公式がこういう文章をリリースするのは勇気があるというか、画期的なんじゃないかな。これは関係者の方々の広い心や多大なるご協力によって実現している。そもそも私がもしもメンバーだったら、こういう書かれ方をされるのは正直抵抗がある。だから、もちろんこのやり方がベストだと考えて提案したわけだが、OKが出た時は本当にいいの?と思った。面白がってもらえてよかった。

 

・私の文章ではない文章、を書くという作業が一部必要だった。それが楽しくもあり、難しくもあった。

 

・ライブ終了後に「この選曲はどういう意図で?」「あの演出は誰の発案?」みたいな質問をさせてもらい、いただいた回答をレポの中に組み込んでいる。だから答え合わせっぽいニュアンスのある内容になっている。これも意外と他では見ない気がする。通常ライブレポートだと、良くも悪くもライター自身の解釈に委ねられるので。

 

・2日間、計4時間弱のライブに対して3万字も書く機会ってなかなかないし、この文字量の多さはなかなかクレイジーだと思う。最初に希望の分量を伺った時、いやそれはレポにしては多いな、そんなに書けるか分からないな、と思っていたはずだけど、最終的にむしろ自分の方から増やしてしまった。

 

・それに伴う、長文をどう読ませるか問題。


・お祝いだから多少コテコテ感あってもいいかなと思い、気づいた人がこっそり微笑むことのできるような単語をいつもより多めに散りばめた。気づかずに終わるのもまた一興。違う日にページをめくったら気づくかもしれないし、紙だとそういう楽しみがあるからいいよね。

 

いつものメディアといつものライターによる、似たような雰囲気のライブレポートだけが出回る世の中では面白くないし、何より自分が退屈してしまう。トリビュートアルバムで、12組のアーティストが磨き上げた技術や表現力、あっと驚くアイデアで以ってユニゾンの曲をカバーしていたように、いちクリエイターとしてここに呼ばれたならば、私もそういうものをアウトプットしなければならないと考えました。そういう意味で、自分の中にある方法論を活かしつつ壊しつつ、いい感じのどんでん返しができたんじゃないかなと思っています。

 

だからユニゾンファンの人が読むであろう文章だけど、意外と、普段一緒に仕事をしている他のバンドの人たちに読んでほしいという気持ちが強いかもしれない。ユニゾンとはこういうことをやったんですよ、ほら、まだまだ一緒にいろいろな企みできそうじゃないですか、っていう。この仕事をやっているなかでアウトプットする文章って、インタビュー記事/ライブレポート/ディスクレビュー/コラムの4種類にほぼ分類することができて、だからこそ油断するとテンプレ的な表現に陥りがちで、私はそこから逃げ続けたいとずっと願っている。ずっと走っている。そういう未来を考えるうえでのヒントを今回掴めたような気がしています。これが今の私の全力だけど、1年後、2年後には、粗いなあ、青いなあと笑っていたい。精進します。

 


あ、それとB面ツアーのレポがおそらく近々アップされます。そちらもお楽しみに。それでは。