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蜂須賀ちなみの日記帳

例のクッションとの闘い

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無印良品とかyogiboとか最近はいろいろとあるけど、あの巨大なビーズクッションが「人をダメにするクッション」と呼ばれるようになったのはいつからだろう。

 

先日、オンライン取材があるにも関わらず自宅のWi-Fiがブッチブチになってしまった日に、友人宅に避難して仕事をさせてもらった。そこにあれが、正式名称は何だかわからないけど例のクッションが置いてあった。何か知らないけど私の友人にはあれを持っている人が多いため、家に行ったときに座らせてもらうことがわりとある。私の家にはないが、内心欲しいと思ってはいた。

 

「これあると本当に仕事にならないよ~。腰痛くなるし」と言う友人は別の椅子に座っていて、確かにそうかもと思ったが、せっかく空いているので借りることにした。座りようによっては、内部のビーズの位置を移動させ、自分で背もたれ的なものを作り出すこともできるため、なんだ、仕事用の椅子としても使えるじゃん、と思った。不便に感じるどころか無限の可能性を感じてなおさら欲しくなった。

 

だけど、買えないのには理由がある。小学生の頃、通信教育でためたポイントを交換する形でもらった、さやえんどう型のすべすべビーズクッション、通称:まめまめクッション。あれをバットにしてボールを打つ、野球ごっこ的な遊びをしていたとき(するなよ)、カバーの布が割けて中身が床に散らばった。通常クッションの中身は綿だけど、まめまめクッションの中身はビーズ、しかも超細かくてやたらさらさらとしている。服にひっついたものは静電気のせいか、なかなか取れず、床に散らばったものを掃除機で全部吸い込むのにもかなり時間がかかった。とにかく大変だった記憶がある。

 

まめまめクッションと人をダメにするクッションは手触りが似ているが、カバーも中身も一緒なのだろうか。それとも20年近く経っているのだから、布なりビーズなりのテクノロジーも進歩し、さすがに違うものに替わっているのだろうか。分からないけど、いやちょっと待って、替わってなかったらやばくないか? だって人体の全体重をそこに預けるわけで、小学生の投げるさして球速の速くないソフトボールに耐えられない素材が、その重さに耐えられるわけない。耐えられなかったらどうなる?

 

人をダメにするクッションのなかに埋まったとき、その快適さにうっとりとしながら、このまま布が割けて、ビーズが溢れ出して、海に溺れるところまで想像してしまう。人をダメにするクッションを手に入れたいという気持ちが強すぎるからなのか、それともビーズに溺れることに対する恐怖心が強すぎるからなのか、今朝なんて溺れる夢を見てうなされた。というか「人をダメにするクッションが欲しい」と思って以来、この夢をよく見る。もう何度目か分からない。夢占いのサイトで溺れる夢の意味を検索したら「あなたの行く先に困難が待ち構えていることを暗示します。また、今抱えている悩みや心配事が大きくなり厳しい状態になるかもしれません」と書いてあった。買うのが困難なのか、買わないのが困難なのか、むしろどちらも困難なのか、分からなくてさらに葛藤する。人をダメにするクッションブーム、一刻も早く去ってくれないだろうか。存在を忘れさせてほしい。