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蜂須賀ちなみの日記帳

2016.5.5 go!go!vanillas×UNISON SQUARE GARDEN@赤坂BLITZ を観た感想

5月5日に開催されたgo!go!vanillasとUNISON SQUARE GARDENのツーマンライヴに行ってきました。

 

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「ゴーゴーの日」こと5月5日に開催されるバニラズの主催ライヴ「READY STEADY go!go!」。忘れらんねえよ、THE ORAL CIGARETTESを招いたスリーマン形式だったvol.1、ビクターの先輩・SAKANAMONとのガチンコツーマンだったvol.2を経て、今回が3度目の開催。私は以前ユニゾンの主催ライヴ「fun time ACCIDENT」(2014年6月)で2組の共演を観たことがあり、その相性の良さは分かっていたので、また観たいなあと思い、お邪魔してきました。というか、牧さんがTwitterで「サ」ってちらつかせていたから対バン相手はサンボマスターだと思ってたのに! あれはどういう意味の「サ」だったんだ!笑

 

「JAPAN JAM BEACH 2016」からのハシゴ、という多少無茶な行動をとってしまったけど、2組の熱いライヴを目の前にしたら疲れが吹っ飛んでしまって、こんなことってあるんだなあと、終演後にひとりで笑ってしまいました。笑

 

以下、その感想をざっくりと。

 

 

 

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UNISON SQUARE GARDEN

スケジュールを見る限り今年のユニゾンは特にライヴ活動が活発な気がするけど、バニラズだけではなく、今年はTHE ORAL CIGARETTESやパスピエなど、年下の世代とツーマンライヴをする機会が多いのも特徴的。しかもどのライヴもユニゾンが招かれる側。『Catcher In The Spy』リリース時(昨年夏)のインタビュー*1で田淵さんが「あと10年続けたときに、〈あ、ユニゾンみたいなやり方もあるか〉って、そう思ってもらえるのが、僕の理想でもあるので」と言っていたけど、10年なんて言わずに、もう今の段階でも彼らの背中を観ているバンドは確実にいる、という証拠だと思う。

「シャンデリア・ワルツ」「サイレンインザスパイ」「桜のあと(all quartets lead to the?)」の3連投後、齋藤さんが「本日の主役、go!go!vanillasまで、転換込みであと50分です。そこまで好き勝手やらせてもらいます」と宣言。もはやいつ観ても良いライヴしてくれるバンドになりつつあるユニゾンだけど、この日も例に漏れず。バニラズの主催ライヴという招かれた場所だろうと本当に容赦がないというか、徹頭徹尾、アスリートみたいにストイック、かつバンドマンとしての純粋な衝動に突き動かされるように自由度満点、というライヴをしてみせる。それが、対バン相手のバニラズや、この日会場に集まったオーディエンス、そして何よりも自分たち自身に対するこのバンドの誠意だ。

用意していただいた席がたまたまフロアをよく見渡せる場所だったからお客さんの様子を見ていたんだけど、両手で顔を覆って泣きそうになっている人がいたり、拳を突き上げている人がいたり、リズムに合わせてドラム叩くマネをしている人がいたり、後ろの方で腕を組みながらステージをじっくり見つめている人がいたり……何だかその光景を観ているだけでちょっと涙腺が緩んでしまった。ユニゾンの音楽はあらゆる人の居場所になりえる音楽だよなあ、といつも思う。

中盤では新曲「パンデミックサドンデス」も披露。自らのメロディラインを大胆に崩しにかかるようなイントロのギターから、疾走感のある曲調/歌のラインの柔らかさ という二者のコントラスト、さらに2番冒頭の緊張感など、華麗なる裏切りを何度も重ねていくような、超確信犯的な曲だなあ、と。夏にリリースされるアルバムがどんなものになるのかこの1曲だけで予想しようとするのは考えが浅いんじゃないか、という気さえしてしまう。

MC、面白かったので軽くまとめておきます。笑
・「go!go!vanillasに呼んでいただいて本当に嬉しいんだよ」と笑顔の齋藤さん。直筆の手紙で今回のオファーを貰ったとのこと。(FUN TIME ACCIDENTのとき、バニラズがMCで「ユニゾンから直筆の手紙でオファーが来た」と話をしていたから、そのお返しかな?)
・ユニゾンにとってのバニラズは「シンパシーを感じるバンド」。齋藤さんが3つ、共通項を挙げる。
①ヴォーカルがイケメン(このとき、田淵さんも貴雄さんもすんごい表情で齋藤さんの方を見てた。笑)
②ベーシストの体幹が強そう
③貴雄さんとセイヤさんは演奏スタイルも似ているけど、2009年頃の貴雄さんと今のセイヤさんの見た目が酷似している。だから1、2年後にはセイヤさんがアフロになるのでは?(2011年頃の貴雄さんがアフロだったから)

 

 

★go!go!vanillas

ニゾンのライヴがエグいくらい良かったので、正直「バニラズ、どうするんだろう……」と思っていたのですが、始まりから意表をつかれた。

 

転換が終わってBGMが落ちると、ステージ上にはもうセイヤさんがいる。で、突如ピンスポを浴びてドラムソロスタート、プラス「READY STEADY go!go!」とシャウト*2。そこに徐々に他メンバーが加わっていき、セッションになり、牧さんが「本日の主役、go!go!vanillasです!」と挨拶。堰き止めていた感情が一気に溢れ出すみたいに、1曲目の「スーパーワーカー」のイントロになだれ込む……っていう流れでした。普段と違う始まり方で意表をついてオーディエンスの集中力をグッと引き出しながら空気を塗り変えたこと、さらにドラムソロによってユニゾンMCでの「貴雄さんとセイヤさんは叩き方も似ている」という話の伏線を回収したこと*3。それらがプラスに働いた爽快、というか豪快なスタートダッシュだった。ユニゾンの演奏に感化されて明らかに気合い漲りまくりの演奏になっていたのがバンドとしてすごく健全だな、と。曲終わり、拍手しながら思わず「いいぞいいぞ!」と笑ってしまった*4

柳沢さん&プリティさんが背中合わせになって楽器を弾いてたり、牧さんが下手前方へ駆け出したり、セイヤさんが立ち上がって右腕振り回しながら左手でドラムを叩いてたり……という感じで4人とも思いのままに動くからステージ上がカオスになっていた「ニューゲーム」。「今日はこどもの日ですよ!10代も〜50代も関係ねえんだ!お前らの本当の正体、見せてくれ!」と牧さんが熱く捲し立てながら突入した「バイリンガール」。最新作『Kameleon Lights』を引っ提げたツアー中ということもあり(というか、一応このライヴもその一部なのか)、ツアーを経ての成長が感じられる場面が多かった印象。『Kameleon Lights』というアルバムはそのタイトル通り様々な色をした曲が収録されているけど、ツアー出発前の「ビクターロック祭り」*5のときは曲の持つワンパクさに全力で対峙しながらもまだ手懐けることができていなかったような、「チクショー!」って叫びながら全力で立ち向かってるような感じだった。でもツアーを経て、バンドが手綱を握り始めた感じがして、アルバム曲は特に、2ヶ月間でのそういう進化が分かりやすく演奏に表れていた。「ヒートアイランド」なんて正直、音源を聴いた時点ではこんなにも化ける曲だとは予想していなかった。4人がヴォーカルをとる「デッドマンズチェイス」も楽しさが突き抜けていて良かった。でもツアーはまだ続いていることだし、こういうライヴを観たあとだからこそどの曲も「もう一皮剥けるのでは?」と期待したくなってしまう。あとはあえて言うならば「ハイテンション」の音像がファットに聴こえて少し気になったかな。変わりつつある自分たちの音と、旧譜曲との照準がまだバッチリと合っていないというか。

実際唄ってるか口パクかは分からないけど歌詞を口ずさんでる人が特に多かった「カウンターアクション」のあと、「ロックンロールっつうのは、何も考えずに突き動かされる、衝動のことだと思ってます! みんなの衝動を駆り立てるgo!go!vanillasの魔法に、かかってけー!」と牧さんが叫び、本編ラストの「マジック」へ――という流れの大団円っぷりが個人的ハイライトでした。ユニゾンとバニラズの共通点は何点か挙げられるけど、いちばん大きいのは「ロックバンドは楽しい!」ということを素直に発信してくれるバンドだということ、だと私は思っていて。頭の良い方々だから、曲もアンサンブルもよく練られているし考えられているんだけど、結局最後にはバンドマン/演奏者としての純粋な欲望・衝動=楽しさが勝つ、みたいなあの感じ。だからこそこの2組の音楽に惹かれてしまうし心が昂ぶってしまうし、勝手に信頼してしまう。

アンコールで「エマ」と「ギフト」を演奏し、その勢いのままフロアにダイヴしてしまったセイヤさんを、牧さんが「子どもになりすぎやぞー」と注意したところで終了。笑 前々日に出演していた「JAPAN JAM BEACH 2016」*6はビーチフェスだったし、この日も年に一度のお祭りだったし、どちらも「ハレ」と「ケ」で言うところの「ハレ」にあたる曲が多めのセットリストだった印象。「ケ」にあたる曲に関しては今月末のツアーファイナルで聴けることを期待したい……!

 

 

*1:参照:「音楽と人」2015年6月号

*2:おそらくこのイベントのテーマソング的なものかと。昨年はアンコールでSAKANAMONとこの曲(全く同じものではないかもしれないけど)を一緒に唄っていた

*3:終演後「あの伏線回収、すごかったです!」とメンバーのみなさんに伝えてみたけど、どうやらそういう意図があったのではなく、結果的に偶然そういう感じになったのだそう。笑 この2人のドラマーの共通点は「感情直結型だし、遊び心もあるけど、根は真面目でそれがどうしても演奏に出ちゃうところ」だと思ってます。個人的には。

*4:ライヴを観ながら独り言を言ってしまう癖があります、うるさくてすみません。

*5:宣伝:そのときのレポはこちら

*6:宣伝:そのときのレポはこちら