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蜂須賀ちなみの日記帳

今期はこのドラマ観てます|2021年春

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(以下、敬称略で統一します)

 今期は観てるのたくさんあるんですよね。早速行きます。

  

  

イチケイのカラス

(フジテレビ/月曜21時)

www.fujitv.co.jp

 

キャラの魅力の大勝利、刑事裁判官が主人公のリーガルエンタテインメント。ざっくり言うと、疑問に思うことがあるとすぐに職権を発動し、現場調査に繰り出す入間みちお(竹野内豊)と、エリートで生真面目な坂間千鶴(黒木華)のバディもの。坂間は最初入間に反発するも、徐々に彼の信念を理解し、共感するようになってくる。入間はゆるりとやっているように見えるが、坂間の性質を上手いこと利用しながら、上司として彼女のことを導いている感じもある。デコボコな2人のやりとりが可笑しくも愛おしいなあと思いながら毎週観てます。あと黒木華、オールバックにすると顔の小ささが際立ちますね。毎週凝りもせずビビるという。

 

他のキャラクターも魅力的で、1話完結型でスピード感のある構成もいい。そもそも原作では入間が主人公ではないらしく、坂間は男性とのことで改変要素多いようですが、毎話すごく綺麗にまとまっています。

 

 

大豆田とわ子と三人の元夫

(フジテレビ/火曜21時)

www.ktv.jp

 

「花束みたいな恋をした」にいたく感動していたところだったから、坂元裕二の新作連ドラが今観られることがまず嬉しいし、それがあまりにも坂元裕二な作品であることがさらに嬉しいし、総じてこれ無料でいいんですか?という気持ち。あまりにもよく出来過ぎているドラマだから逆に書くことがない。笑 登場人物全員面倒くさくて愛おしくなりますね。

 

 

着飾る恋には理由があって

(TBS/火曜22時)

www.tbs.co.jp

 

(つまり火曜が楽しくてしょうがないということ)

 

インテリアメーカーの広報課に勤め、自身でもInstagramのアカウントを運用するインフルエンサー・真柴くるみ(川口春奈)と、自分の店を持つ若きシェフだったが今はキッチンカーをやっている藤野駿(横浜流星)が、ひょんなことからルームシェアすることになるというラブコメ

 

出てくるもの全てがとにかくおしゃれで、「リアル」というより「憧れ」。そういう意味でちょっとトレンディドラマっぽいなあと感じます。軽率にルームシェアしたくなるし、軽率にグランピングしたくなる……。

 

www.shakushi-gc.com

 

こういうカラッとした役柄の横浜流星、新鮮だけどめちゃいいですね。藤野はミニマリストで、最初こそ着飾る女=真柴と価値観がぶつかることも多い(「個人事業主!」と叫びながらキレる横浜流星……)。とはいえこういう設定にありがちな、着飾ったりSNS・インターネットを欠かさず更新したりしている真柴を全否定する方向には着地しておらず、「オンでいる自分が好きならそれでもいいんじゃん?」「まあ俺はオフなあなたも好きだけどね」と伝える温度感がいいなあと思いました。

 

脚本は「恋はつづくよどこまでも」金子ありさ、プロデュースと演出は新井順子と塚原あゆ子「MIU404」などのコンビ(というかこの3人は中学聖日記と同じ座組)ということで、どの道を通っても最終的に「キュン」に辿り着くみたいなストーリー展開というか、とにかく徹底しているし、ある意味では容赦がない。毎話ラストにドラマ中のワンシーンを藤野視点から振り返るショットが必ず入り、一見掴みどころのない藤野の心情がそこから垣間見えるようになっています。因みに、同様の手法は「レンアイ漫画家」でも。

 

 

半径5メートル

NHK/金曜22時)

www.nhk.jp

 

週刊誌「女性ライフ」の編集部に配属された若手編集者・前田風未香(芳根京子)が、ベテランのフリーライター・亀山宝子(永作博美)に教わりながら記事を仕上げていく過程にフォーカスしたストーリー。例えば第2話の「出張ホスト百人斬り」という題材はかなりキャッチ―だけど、そこを入り口にしつつ、女性の性欲、夫婦間のセックスレス、子宮頸がんなどにも話題が及び、じわじわと展開していくという。宝子は風未香に最初から答えを教えるようなことはせず、地道な取材を体験させることによって、自分の足で辿り着かせようとする。宝子の仕事に対する姿勢が、ドラマ自体の構成にも表れているような気がします。そういえば芳根京子「コントが始まる」にも出ているので、今期は2本も連ドラに出ているんですね。

 

 

今ここにある危機とぼくの好感度について

NHK/土曜21時)

www.nhk.jp

 

そして松坂桃李は「今ここにある危機とぼくの好感度について」と「あのときキスしておけば」で今期主演が2本もあるのか……。

 

「今ここにある~」で松坂桃李演じるのは、国立大学の広報課に中途採用された元アナウンサー・神崎真。論文不正など「大学当局の闇」を題材とした、ブラックユーモア的なストーリー。こういう物語の場合、いわゆる勧善懲悪ものに着地するパターンが多い印象がありますが、「意味のあることは何も言わず、好感度を保つことに全振りすることで、のらりくらりとここまでやってきた人物」を主人公に置くことにより、ある種のモヤッと感、視聴者への問いを内在させたまま進んでいく点が革命的だと思います。第1~2話で内部告白したポスドク(非正規研究員)を演じた鈴木杏の、飲み込んだ言葉を滲ませた演技が素晴らしかった。

 

 

コントが始まる

日本テレビ/土曜22時)

www.ntv.co.jp

 

お笑いトリオ・マクベスが夢を諦め、解散するまでの1ヶ月間を描いたドラマ。マクベスのオリジナルコントの冒頭から始まり、同じコントのオチがその回の締めにもなっているという構成。菅田将暉、仲野大賀、神木隆之介って絵面的には明らかに売れっ子3人組だし、それぞれ抜群のキャラクターで、3人揃ったときのバランスも最高なんだけど、とにかく絶望的にネタがつまらない、だから売れない、という無慈悲さがリアルというか何というか……。

 

脚本は「俺の話は長い」(←超好き)の金子茂樹。「坂元裕二渡辺あやの新作が毎週テレビで放送される今期はすごい!」みたいなことを言っている人多いと思うし、そこは完全に同意なのですが、私の中の心の覇権は「コントが始まる」かもしれない。というか人生のバイブル的な作品になる可能性すらあると思っています。(いうて、「さらっと言われる台詞も全部伏線になっている」とか、ファミレスが重要な場所として登場するとか、坂元裕二っぽいところけど)

 

脚本の巧みさ、俳優の演技力(第5話のファミレスシーンすごかった)など、心の覇権たる所以は様々あるけれど、私自身が主役5人と同年代だから、よりグサグサ刺さってしまっているというのもあると思います(「'93年生まれの俳優が集結!」と謳われているけど、劇中でも年下設定の古川琴音は実際にも他4人より年下で96年生まれ。有村架純、菅田、仲野は早生まれだから学年としては92年組)。「楽しいからいくらでも頑張れる」というのはある種若者の特権で、20代後半に差し掛かると、疲労を感じる場面が増え、ガス欠っぽくなってくる……というのは実際自分も生活しながら感じたことで(だから私は会社を辞める選択をした)。だから、文化祭のコントを見て「面白えじゃねえか!」と言っていた真壁先生(鈴木浩介)が今は「解散した方がいいと思うぞ」と言う理由もめちゃくちゃ分かる。恩師からそう言われた3人はさぞショックだったろうけど……。

 

3人のわちゃわちゃ感とか、青春の輝きを描きつつも、人間の弱い部分を容赦なく抉ってくるドラマ。最新話がすごくつらいところで終わっているけど、一方でコントのオチは希望の残っている感じだったから、ここからどう閉じていくのかが楽しみです。あと、このメインビジュアルが好き。5人ともバイト着姿=どうにか社会と繫がっているときの姿という。